弥生織りの会 : 布を織り染めて作品を作る
弥生時代に用いられていたと推測されるカラムシを育てそこから繊維を取り出し、
出土木片や民俗資料を参考にして復元した原始手織り機で布を織っています。
また、弥生の人々も行ったに違いない草木染めによる作品も作っています。
カラムシを育て糸をとる
下之郷遺跡からは大麻の種が出土していますが、栽培するわけにはいかないので
カラムシを育てて繊維を取り出しました。
カラムシは雑草のように強い草ですが気候、土質が関係するのか育てるのに結構苦労しました。


カラムシ畑

カラムシの葉と茎

葉を取り茎だけにする
 

茎の皮をはぐ

皮から繊維を取り出す

出来上がった繊維
復元した織り機で布を織る −輪状式の弥生機−


@経糸(たていと)を経送具と布送具の周囲に輪状にかける
A布送具を腰に当てて固定し、足で経送具を押して経糸を張る
B中筒を経糸1本おきに通す
C経糸1本間隔で別の糸で綜絖に巻きつける(下図青色の経糸)



【弥生機の模式図】

D赤色の経糸を上にあげ、緯糸を通す

E青色の経糸を上にあげ、緯糸を通す


DとEを交互に繰り返す。布が織れてきたら布送具を緩め経糸を引っ張って手前に回す。
最終的には輪の状態の布が織り上がる。
糸や布を染める
日本の染色の起源は弥生時代にまで遡り、実際に日本茜(あかね)や貝紫の色素で染めた織り物が吉野ヶ里遺跡から出土しています。さらには、この時代には藍や紅花を用いた染色技術もあったという説もあります。
古墳時代になり織りの技術とともに染めの技術が伝来、進歩し、飛鳥・奈良時代に入って草木染めの技術は益々発達したと言われています。
弥生織りの会では、現代の身の回りにある植物を使って草木染めを学習し、実際に染めてみました。

草木染めのサンプル

 茜×鉄   鉄  タンポポ 
  ×鉄
タンポポ
  ×鉄
タンポポ 
  ×臭木
 茜たまねぎタンポポ タンポポタンポポ
  ×臭木
 茜たまねぎタンポポ 臭木×
タンポポ
臭木



このほかにもいろいろな草木染めを試してみました。

織り・草木染め作品の紹介
自分たちで栽培したカラムシの繊維や近くで採集したクズの繊維を用いて布を織りました。 長い糸をつくるのは
難しく、経糸(たていと)には市販の麻糸や木綿糸を使いました。
生葉を直接布に押し当てて叩く、「たたき染め」も試してみました。

たて糸:カラムシ 自然色(上)
たて糸:カラムシ 柿渋染め(下)   
よこ糸:カラムシ 自然色
上段:クズの繊維
たて糸:綿
よこ糸:クズ、カラムシ
よこ糸:バナナ(部分)
綿シャツ
タデアイのたたき染め
たて糸:綿
よこ糸:カラムシ(自然色)
たて糸:綿 白色/アイ染め
よこ糸:カラムシ アイ染め
たて糸:綿 白/アカネ/アイ
よこ糸:からむし 自然色
弥生の着物−貫頭衣

貫頭衣とは

弥生時代、下之郷の人たちはどのような服を身につけていたのでしょうか。
輪状式の弥生機で織れる布の大きさは、織る人の腰の幅と足の長さに限られます。
『魏志倭人伝』に見える「貫頭衣」は、2枚の布を並べて縫い合わせ、折り返してできます。丈はちょうど
膝が出るくらいだったでしょう。
東アジアの民族例にも貫頭衣が現存しています。

貫頭衣を頭からかぶる

貫頭衣を作りました

弥生織りの会では、カラムシの糸で作った布で貫頭衣を作り、草木染めをしています。
田植えや稲刈りのイベントでは「稲と雑穀の会」の人たちがこの貫頭衣を着て作業をします。


上の方法で作成した貫頭衣


袖を付け襟を開いた貫頭衣

貫頭衣を着たところ

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