稲と雑穀の会
2012年度の活動状況
3月の作業
【3月16日】 藻は光と水と二酸化炭素があればぐんぐん育ち増え過ぎて困っています。 環濠の水を自然に浄化させたいということで、近くの鎌田川の川べりに繁殖する草ヨシを取りに行きました。SD−2という環濠は「稲と雑穀の会」が美しい水にするため実験的に預かっています。 ここには、銀ブナが入っていて少し大きくなりましたが, 魚のためにも草ヨシが成長して日陰ができることを期待しています。
水辺にセリが茂ってきました。地下から汲み上げた水で、しかも無農薬地帯。水炊きやお浸しにおいしいですよ。
草ヨシを取りに行く |
ヨシを植木鉢に植える |
環濠に20鉢並べる |
水辺のセリ |
2月の作業
【2月23日】弥生養成講座は大阪大学院勤務の竹井恵美子先生から「雑穀をつくる、たべる、まつる〜日本と台湾の雑穀の村の今と昔〜 のお話をして頂きました。稲と雑穀の会も毎年アワやヒエ、キビに挑戦するも虫にやられて収穫が少なかったり、脱穀が大変だったりで食するところまでまだもっていけてません。
講義のあと、雑穀を使ってのお菓子は購入したアワキビを使用しました。
今回は、次のお菓子を作りました
・アワ入りおこわの里芋餡包み
・キビ団子のぜんざい(昭和の頃は浮き浮きだんごと呼ばれていたとの記録あり)
お菓子のレシピはこちらから
雑穀栽培の苦労話し |
30人分の菓子作り |
ぜんざいのお代わりはおしまい |
【2月11日】未来ファンドおうみのフォーラムに参加
(会場の様子は「トピックス」をご覧ください)
ここでは、出展者団体の紹介冊子の文章を掲載します。
【2月の田んぼ】下之郷史跡公園の田んぼは冬の間も水を張ったままです。
草や藻を発酵させたほこほこの土をばらまきましたまた、冬の間水を張って切り株や、わらから栄養分を促し、みみずなどの排泄物も土壌の肥料にするのが目的です。 |
ふゆみずたんぼ |
1月の作業
【弥生人養成講座でしし鍋提供】1月26日に環濠保存施設で弥生人養成講座が開催されました。
環濠からシカやイノシシの骨や歯がたくさん出土し、弥生人が食べていたと思われます。「出土する小さい矢じり(サヌカイト)では獣を獲るのは難しいよ」とのことから ”弥生人はどのようにして獣を狩っていたのだろう?”という話に発展し、計画された今回の講座です。
現在、守山市猟友会の片山淳二氏が最近のイノシシ、シカの特徴や猟具、仕掛けわな、イノシシの解体法など猟師さんならではのお話をして頂きました。
また、奈良大学の高橋春成氏が「イノシシと人の関係」と題して昔も農作物被害対策として狩猟し食していたとの、面白いお話の後、しし汁を試食していただきました。
もちろん作るのは稲と雑穀のメンバー。しし肉は講師の片山さんに提供していただき、野菜をたくさん入れて味噌仕立てです。 大根、人参、白菜、ねぎなどはメンバーの畑から。下之郷特産のサトイモも入れました。 男料理で具も大きく、しし肉のだしでおいしいと喜ばれました。片山さんからはシカ肉の生姜そぼろ煮も頂き、賞味しました。
しし肉を切る |
次は何を切るんや? |
シカの生姜煮・しし汁を試食 |
12月の作業
【弥生水田の整備】子供たちとの米つくり体験も無事済んだところで、私たちには、水田の不備なところを直す仕事があります。 日頃気になっていた水の出入口(樋[とい]と言います)の高低差をうまくして、いつも環濠の水が流れるよう、また、冬の間も水を保って生き物が生息できるために改善しました。
また、草刈り隊が刈り取って積んである草置き場の底には、草や環濠の藻などがもういい腐葉土になっています。それを一輪車で何回も水田にばらまきました。いい肥料になるでしょう。来年が楽しみです。
水の調節口の整備 |
水路の整備 |
草や藻での腐葉土 |
【下之郷サトイモの保護】
かつて、下之郷地区には、下之郷特産の里芋がありました。私たちはそれを大切に継承したく、毎年栽培しています。小粒ですが、ぬめりがありおいしいと評判だったものです。
サトイモは寒さに弱いので、種は土に深く埋め、わら、ビニール、土などで覆いました。これもお正月までの仕事です。
いもは、1月26日のイベント、しし鍋に使います。
下之郷特産サトイモ |
サトイモの保護 |
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11月の作業
【弥生の米づくり体験】下之郷史跡公園では11月18日第2回目の“下之郷遺跡まつり 2012”が開催されました。
弥生の米づくり体験の最終日として、今回は「赤米を食べる」を祭りの日に組み入れ、親子で参加してもらいました。
赤米粥を弥生時代のかめを真似て作った土器で石で作った炉で赤米とヤマノイモを入れぐつぐつ。柴を燃やしたり、粥を紙コップに入れお盆にのせお客さんにふるまったりしました。
赤米のの粥つくり |
弥生土器で炊いてます |
おいしそうな赤米かゆ |
【下之郷遺跡まつり 2012】
稲と雑穀の会として、「弥生の米づくり体験」の保護者にお手伝いをしてもらい、赤米こがし粉で香せん茶をふるまい、赤米くりごはんを100円で販売。お父さんやお母さんと共に初めてのことばかりでしたが、最後まで頑張って楽しかったと喜んでもらえました。
また昔の人たちの食糧だったどんぐりで首飾りや、「もりのコーラス隊」の人形を作って遊ぶコーナー、火起こし体験のコーナーもあり、もりだくさんの出し物でした。
火起こし体験 |
ドングリ細工 |
コーラス隊(上)とネックレス(下) |
10月の作業
【10月27日】先週に刈り取り、はさ掛けしていた稲の脱穀作業を行いました。千歯こき(脱穀)で籾はずし、棒でたたいて「のぎ」はずし、臼と杵で叩いて擦って精米し、箕(み)で風選してごみを取り除き、お米にするまで大変です。弥生時代の人になったつもりの手作業で、小さい子ども達も頑張ってくれました。
千歯こきで脱穀 |
竪杵と臼で精米 |
箕(み)で風選 |
とおしでごみ取り |
【10月20日】大切に育ててきた稲を刈る日がやってきました。弥生時代は・・・というとまだ?がなく、石で作った石包丁で穂首刈りをしていました。体験をしましたがなかなか難しいでした。
あとは、子供たち、大人全員で長い稲をかまで刈りました。持って運ぶのも長くてのぎがちくちくして大変でしたが見事にハサにかけ一週間干します。いい汗をかきました。
一本一本穂首刈り体験 |
熱帯ジャポニカ太くて長いぞ! |
ハサかけ |
【10月3日】9月30日の台風で1メートル50cmにも伸びた公園の稲がまともに風を受けて殆ど倒れてしまいました。 そのままにしておくと、下になった稲は水につかり穂から芽が出てしまいます。メンバーで倒れた稲を起こし 前後の稲を三株、支え合うようにして立たせ三角くくりをしました。1日かかり大変重労働でした。 |
台風の後始末で稲を三角くくり |
9月の作業
熱帯ジャポニカのラオスは8月の終わりに出穂し、赤米の対馬、種子島は9月の5日頃から 出穂しはじめました。毎日朝10時から2時ごろまで受粉をくり返します。ぱっと白い小さい花が飛び出しゆらゆらとゆれて受粉するのがよくわかります。受粉に成功するとお米の 赤ちゃんが誕生していきます。
9月16日は稲の花の観察会です。稲と雑穀のメンバー中江さんに受粉の話を聞きました。そのあと、虫めがねを持って観察しました。初めて見る神秘的な光景にみなさん感動されていました。
受粉の話を聞く |
稲の観察 赤い穂が美しい |
稲の花 小さな白い花です |
観察会のあと8月に作った鳥型木製品を竹の先に飾り、田んぼの周りに取りつけ、子供たちが作ったおどしも縄にぶらさげました。天高く鳥型木製品が稲を守っています。
また、10月の稲刈りにそなえて粘板岩で作った石包丁がよく切れるように石でこすりました。
鳥型の組み立作業 |
鳥型とおどし |
石包丁の製作中 |
8月の作業
【草花標本づくり体験】 講師:阪本寧男(さだお)、土山博子
下之郷遺跡からは、たくさんの植物の種子が確認されています。2200年後の今も環濠の周りにはイヌビエ、エノコログサ、オオバコ、タデ、チドメグサなど、同じ種類の草花が生えてきます。一方で、弥生時代以後に入ってきた草花も多くあります。 普段気にしない草花を採集して、押し花にしてみようという計画をたてました。
下之郷遺跡からは、たくさんの植物の種子が確認されています。2200年後の今も環濠の周りにはイヌビエ、エノコログサ、オオバコ、タデ、チドメグサなど、同じ種類の草花が生えてきます。一方で、弥生時代以後に入ってきた草花も多くあります。 普段気にしない草花を採集して、押し花にしてみようという計画をたてました。
【8月3日】阪本先生に植物採集のやり方、取り方などを教わって、スコップ、ビニール袋を持っていざ公園へ。採集した草花を新聞に丁寧にはさんで、上下ボール紙をおいてひもでしばってお持ち帰り。家で重石をして、先生に教えてもらったように毎日新聞紙を替えます。
そのあと、弥生時代にもあったシソ(本日は赤じそ)でジュースを作って飲みました。 |
草花の採集 |
草花の採集 |
【8月24日】採集した草花を、毎日新聞を取り換えて出来上がった押し花の標本作りをしました。
画紙に一種類づつ形よくテープで貼っていきます。
阪本先生に植物の名前を教えてもらって、記入しました。
なかなか風流な作品に仕上がって、満足そう。夏休みの宿題として学校に持って行くという 子供がたくさんいました。 |
画紙に貼付け |
出来上がった標本 |
弥生の米づくり体験講座【水田おどし作りに挑戦】
9月に入ったら稲から穂が出てきます。公園の周りには鳥が多くいてお米を食べにくるのでおどしを作りました。出来上がったおどしは、9月16日の稲の花観察会の時に水田周りに吊るします。
9月に入ったら稲から穂が出てきます。公園の周りには鳥が多くいてお米を食べにくるのでおどしを作りました。出来上がったおどしは、9月16日の稲の花観察会の時に水田周りに吊るします。
【8月4日】子どもたちは紙に鳥がこわがる動物の絵を描いて、ラミネート板にしました。お父さん達は木で鳥型木製品(下之郷遺跡出土)を真似て木を裁断。 タイのアカ族では、鳥は穀霊神を載せてやって来るものと言われており、集落の 入り口に門柱を立てそこに飾られます。 また、音で鳥をおどそうと竹細工で風鈴や、おかあさん達は貝殻を糸でつるして風鈴 を作りました。 |
おどしの制作風景 |
出来上がったおどし |
7月の作業
史跡公園で栽培している古代米とは別の所でもお米や雑穀、ウリを育てています。お米は田んぼの中にサークル状に植えてみました(写真左)。 うりは、金マクワ、密糖マクワ、雑草マクワ、ナリクラ、白ウリ、冬瓜、かんぴょうと植えました(写真右)。 |
円形に植えた古代米 |
ウリも植えています |
7月14日 弥生人養成講座で佐藤先生の講話の後、熱帯ジャポニカの説明を行いました。
また、史跡公園で収穫した熱帯ジャポニカで作るお菓子の紹介を行い、団子とチマキ味わってもらいました。 |
熱帯ジャポニカの説明 |
古代米で作ったお菓子 |
7月7日 雨上がりのうっとうしい中、田の草取り決行しました。今年はお天気がすぐれないせいか草が少なく楽でした。カエル、バッタ、ザリガニで遊ぶ子も・・。
草取りが早く終わったので中で七夕のおやつ作りに挑戦。おかあさんたちにお湯でゆがいてもらい、ササの葉の上に並べきな粉をつけて戴きました。 |
田んぼの草引き |
作業の後はお菓子作り |
6月の作業
6月10日 弥生人養成講座で、掘越昌子先生の講義の後、フナすし漬けの実演をしました。お米は、弥生水田で収穫した赤米を使います。 塩漬けのニゴロブナの塩やうろこをていねいに洗いました。頭を下にして一晩水を切ります。ハエにたかられないようにふたをします。 |
水洗いしたフナ |
フナすし漬けの実演 |
6月9日 弥生の米づくり体験講座の参加者は1年生から6年生まで14名と保護者です。作業着に貫頭衣を作ることにしました
早速それを着て田植えに挑戦です。思い切ってはだしで田に入りました。 弥生人に教えてもらいながら、3本づつ植えていきました。泥だらけになったけれど、きれいに苗がそろって植えられました。 |
今年のメンバー |
貫頭衣を着て田植え |
今月は、弥生の米づくり体験講座の準備作業から始まります。田んぼの草取りと整備、環濠の水の入れ替えなど行います。
田植え用の苗は、子供たちが植えやすいように、小分けにし根についた赤土も除いておきます。 |
田んぼの整備 |
苗の小分け作業 |
5月の作業
6月の親子田植え体験の苗を準備するのが今月の一大作業です。種籾からもみを外し「塩水選」と言って塩水に漬けます(写真左)。塩水で消毒と浮く種を省くのですが、結構手間がかかります。その後、水に浸け毎日水を換えて白い根がでてくるのを待ちます。
それから1週間して、育苗箱に種を蒔きます。今年から彦根にある聖泉大学の学生さんが助っ人として参加し、種まきを手伝ってくれました(写真中)。種まき後、2,3日シートをかぶせ白い芽が出てくるのを待ちます。この間が一番心配です。土のかけ方、水のやり過ぎ、蒸れなどで失敗することがあるからです。芽が出たら土の下からのみ水を吸わせ緑の葉が出てきたら雨にかかっても大丈夫になります。
5月は、下之郷に古くから伝わる里芋の植え付けも行いました(写真右)。
種籾をはずし塩水選 |
古代米の種を育苗箱に播く |
サトイモの植え付け |
吉身小学校の弥生体験授業
5月14日、吉身小学校の弥生体験授の授業です。「トピックス」のページに記載している内容と同じで、火起こしの指導(写真左)や起こした火で赤米を炊いて食べたりしました。このほか、史跡公園の中を流れている石田川で魚を獲り(写真中)、どんな魚がいるか観察した後、史跡公園内に復元した環濠に放しました。
体験ばかりではなく、弥生人のおばさんの講義も聴いて勉強しました。
火起こし指導中 |
石田川の魚を獲る |
弥生人の講義を聴く |
速野小学校の弥生体験授業
4月18日と19日、史跡の見学や体験を通じて大昔のくらしを考えようと、守山市立速野小学校6年生の生徒140人が下之郷史跡公園で校外学習を行いました。稲と雑穀の会では、弥生時代の火起こし体験をしてもらいました。弥生時代に使われていた「ウツギ」という植物を火きり棒にした火起こし道具を使い、摩擦熱で実際に火がつくかの実験もおこないました。
はずみ車の付いた火起こし道具は手の上下運動をタイミングよく行う必要があり慣れるまで少々時間がかかったけれど、そのうちに上手になりました。
煙が上がってくると歓声も上がります。綿に火種を移し、それで枯れ枝に火を点けることができました。
大勢で火起こし中 |
はずみ車の付いた火起こし道具 |
やっと火が点きました |
2012年度の活動計画
2012年度活動の要点
・史跡公園の弥生水田での、親子による「弥生の米作り体験」は、今年は稲と雑穀の会が主催して実施します。(昨年は青年会議所が主催、稲と雑穀の会は共催)
・今年は、滋賀県の大学生にも「弥生の米作り体験」の参加をお願いしています。
実現すれば、稲と雑穀の会、小学生の親、大学生、小学生の4世代交流ができると期待しています。
・守山市の小学校から史跡公園での体験学習の依頼が多々来ており、対応します。
小さなうちに古代の生活に触れ、史跡に関心と愛着を持って貰えることを願っています。
2012年度活動
注:(※)印は、「弥生の米作り体験」の項目月 |
稲栽培 |
畑栽培 |
その他 |
4月 |
水田整備 | 畑地耕作 サトイモ植付け |
|
5月 |
種籾水浸け 育苗箱に播種 |
アワの芽出し まくわ瓜移植 |
|
6月 |
水田整備 田植え(※) |
アワの移植 赤じその移植 |
|
7月 |
田の草取り(※) | 赤米でフナずしを漬ける | |
8月 |
おどし作り(※) | まくわ瓜収穫 | 赤じそジュース作り 植物採集と押し花作り |
9月 |
稲の観察会(※) | 石包丁作り | |
10月 |
種籾用稲刈り 稲刈り(※) 脱穀・籾すり(※) |
アワの収穫 | どんぐり拾い |
11月 |
精米・種籾整理 食体験(おにぎり・あめ)(※) |
アワの脱穀 | 下之郷遺跡祭り2012 (弥生の壷で赤米かゆを炊く) |
12月 |
種イモ土かぶせ | ||
1月 |
赤米あめ作り | ||
2月 |
|||
3月 |
フナずしの試食 |